新たにジュリクを加えて、俺たちは問題のダンジョンへと入っていく。
ただ、ロアムたちストックウェル商会の面々としてはまだ不安があるようだ。
当然、彼らはジュリクが所属する《鋼の牙》を知っている。パーティーのメンバー構成や、これまで積み上げてきた実績についても下手をすれば俺より詳しい情報を持っているかもしれない。
それでも不安に感じている要因としては――やはりジュリクの年齢があげられるのだろう。
外見は十代の女の子。
おまけにたったひとりだけ。
いくら初心者向けのダンジョンとはいえ、あそこまで負傷者をだしているという現状を考慮すれば、ジュリクひとりだと戦力的に心細いというのが本音ってところか。
けど、彼女の実力を知る俺からしてみれば、下手な冒険者を十人雇うよりジュリクひとりの方がよっぽど頼もしい。何せ、彼女は幼い頃から父親であるゾアンさんの英才教育を受けている。その過酷さも知っているので実に頼もしいのだ。
もちろん、それらの情報はロアムたちに伝えたものの、やはりまだどこか疑いを持っている様子。
まあ、どんな状況でも疑ってかかるべしというのがストックウェル商会のモットーみたいなものだからな。すべてはモンスターと遭遇すれば分かることだ。
しばらく歩いていると、十人ほどの冒険者たちが固まっている場に遭遇する。
「大丈夫か?」
声をかけると、彼らはビクッと体を震わせて一斉にこちらへと顔を向けた。全員ひどく怯えた顔つきをしており、何かを恐れているようだ。
その時、
「注意してください。……近くにモンスターがいます」
ジュリクがそう警告がする。
岩壁から漏れる発光石の淡い光に包まれている周辺は決して視界がいいとは呼べない状況である――が、彼女の宝石のように輝くふたつの瞳には、しっかりその姿が映しだされているらしかった。
「やれるか、ジュリク」
「ご安心を」
短く答えると、ジュリクは愛用している短刀を取りだした。
直後、何かがこちらへ近づいてくる音がする。
「き、来た!?」
冒険者のひとりが怯えたような声をだして頭を抱える。
どうやら、お目当てのモンスターのようだ。
音はやがて小さな震動をともないながらドンドン大きくなっていく。それだけ距離を詰めてきているようなのだが、未だに俺たちの視界では捉えきれない。
「どんなモンスターなんだ?」とジュリクへ尋ねようとした時、
「ギイイイイイイイイイイッ!」
奇怪な雄叫びをあげながらこちらへ飛びかかってくる影が見えた。
「なっ!?」
しまった。
あれだけ注意をしなければと言っておきながら油断するなんて――だが、
「はっ!」
短いかけ声の後、ジュリクはモンスターを蹴り飛ばした。
「これより戦闘に入ります。少し間だけ、裏に下がっていてください」
「わ、分かった」
ついに出現したモンスターに対し、ジュリクも臨戦態勢へと移る。
果たして、敵の正体とは――
ただ、ロアムたちストックウェル商会の面々としてはまだ不安があるようだ。
当然、彼らはジュリクが所属する《鋼の牙》を知っている。パーティーのメンバー構成や、これまで積み上げてきた実績についても下手をすれば俺より詳しい情報を持っているかもしれない。
それでも不安に感じている要因としては――やはりジュリクの年齢があげられるのだろう。
外見は十代の女の子。
おまけにたったひとりだけ。
いくら初心者向けのダンジョンとはいえ、あそこまで負傷者をだしているという現状を考慮すれば、ジュリクひとりだと戦力的に心細いというのが本音ってところか。
けど、彼女の実力を知る俺からしてみれば、下手な冒険者を十人雇うよりジュリクひとりの方がよっぽど頼もしい。何せ、彼女は幼い頃から父親であるゾアンさんの英才教育を受けている。その過酷さも知っているので実に頼もしいのだ。
もちろん、それらの情報はロアムたちに伝えたものの、やはりまだどこか疑いを持っている様子。
まあ、どんな状況でも疑ってかかるべしというのがストックウェル商会のモットーみたいなものだからな。すべてはモンスターと遭遇すれば分かることだ。
しばらく歩いていると、十人ほどの冒険者たちが固まっている場に遭遇する。
「大丈夫か?」
声をかけると、彼らはビクッと体を震わせて一斉にこちらへと顔を向けた。全員ひどく怯えた顔つきをしており、何かを恐れているようだ。
その時、
「注意してください。……近くにモンスターがいます」
ジュリクがそう警告がする。
岩壁から漏れる発光石の淡い光に包まれている周辺は決して視界がいいとは呼べない状況である――が、彼女の宝石のように輝くふたつの瞳には、しっかりその姿が映しだされているらしかった。
「やれるか、ジュリク」
「ご安心を」
短く答えると、ジュリクは愛用している短刀を取りだした。
直後、何かがこちらへ近づいてくる音がする。
「き、来た!?」
冒険者のひとりが怯えたような声をだして頭を抱える。
どうやら、お目当てのモンスターのようだ。
音はやがて小さな震動をともないながらドンドン大きくなっていく。それだけ距離を詰めてきているようなのだが、未だに俺たちの視界では捉えきれない。
「どんなモンスターなんだ?」とジュリクへ尋ねようとした時、
「ギイイイイイイイイイイッ!」
奇怪な雄叫びをあげながらこちらへ飛びかかってくる影が見えた。
「なっ!?」
しまった。
あれだけ注意をしなければと言っておきながら油断するなんて――だが、
「はっ!」
短いかけ声の後、ジュリクはモンスターを蹴り飛ばした。
「これより戦闘に入ります。少し間だけ、裏に下がっていてください」
「わ、分かった」
ついに出現したモンスターに対し、ジュリクも臨戦態勢へと移る。
果たして、敵の正体とは――