二人は一駅先の繁華街に移動して昼ごはんを食べた後、アニメショップで買い物し、それからゲームセンターに向かった。
ギルドメンバーとのオフ会にクラスメイト――しかも一軍トップのイケメンが現れてどうなることかと思いきや、リーンの箱庭について話し始めると、あっという間に緊張がほぐれた。
面と向かって話すのは初めてに等しいが、オンライン上では長い付き合いなのである。当然と言えば当然だ。
「それって今アニメやってるやつだっけ。観てないけど面白い?」
俺がクレーンゲームでとったフィギュアを見て、高嶺が尋ねてくる。
「一話切りする人多かったけど、三話からぐっと面白くなるから絶対見た方が良い!」
「へー、じゃあ今度観てみよ」
「高嶺は普段どんなの観るの?」
「俺は普通にロボットものとか。あと、日常系も結構好きかも」
高嶺は見た目が優れているだけではなく、性格も良いらしい。
俺みたいなオタク陰キャにも普通に話しかけ、馬鹿にすることなく話を聞いてくれる。
(た……楽しい……)
ハシモッチャンもノブさんも家が遠いので、こうして誰かと学外で遊ぶのは久しぶりだ。
俺はいつの間にか、高嶺と二人で過ごす時間を楽しんでいた。
「俺もゲームしようかな」
高嶺は移動しながら、きょろきょろとクレーンゲームを見回す。そして可愛い猫のぬいぐるみの前で、足を止めた。
確か最近、女子の間で人気のキャラクターだ。
「高嶺、こういうの好きなの?」
何気なく尋ねると、高嶺はびくっと肩を跳ね上げる。
「いや……妹にとってあげたら喜ぶかと思って」
高嶺は気まずそうに頰を掻く。
珍しく動揺しているように見えた。
(あれ、そういえば天丼さんって日朝アニメのマスコットキャラとか好きだったよな。ロコロぬいを持ってることからしても、案外可愛いもの好きなのかも)
学校でそんな素振りを見せたことはないので、普段は隠しているのかもしれない。
俺はなんとなく察する。
「もしかして、自分用? 別に隠すことないよ。俺も男の癖にイケメンキャラとか結構好きだし」
「そっか。そうだよな。ののは俺が可愛いもの好きなの知ってるんだった」
どちらかというと、高嶺が可愛いもの好きということよりも、いつの間にか親しげに「のの」と呼ばれていることの方が気になった。
高嶺はそんな俺の心情を知るよしもなく、プラスチックの板にくっついて中の景品を見つめる。
「んー、でもこれ。アーム弱そうだし難しいかな」
「ふふふ、任せとけ」
自慢ではないが、俺はクレーンゲームが得意だ。
攻略動画を見てハマり、一時は毎日のようにゲーセンに通っていた。
このタイプの機種には、アームをぶん回してとるという裏技がある。
「はい!」
俺はとれたてのぬいぐるみを高嶺に渡す。
一発というわけにはいかなかったが、三回目でとれたのなら悪くないだろう。
「ありがと」
高嶺はふわりと柔らかい表情を見せる。
クレーンゲームをした時の高揚感の名残か、俺の心臓はドクドクと煩かった。
ギルドメンバーとのオフ会にクラスメイト――しかも一軍トップのイケメンが現れてどうなることかと思いきや、リーンの箱庭について話し始めると、あっという間に緊張がほぐれた。
面と向かって話すのは初めてに等しいが、オンライン上では長い付き合いなのである。当然と言えば当然だ。
「それって今アニメやってるやつだっけ。観てないけど面白い?」
俺がクレーンゲームでとったフィギュアを見て、高嶺が尋ねてくる。
「一話切りする人多かったけど、三話からぐっと面白くなるから絶対見た方が良い!」
「へー、じゃあ今度観てみよ」
「高嶺は普段どんなの観るの?」
「俺は普通にロボットものとか。あと、日常系も結構好きかも」
高嶺は見た目が優れているだけではなく、性格も良いらしい。
俺みたいなオタク陰キャにも普通に話しかけ、馬鹿にすることなく話を聞いてくれる。
(た……楽しい……)
ハシモッチャンもノブさんも家が遠いので、こうして誰かと学外で遊ぶのは久しぶりだ。
俺はいつの間にか、高嶺と二人で過ごす時間を楽しんでいた。
「俺もゲームしようかな」
高嶺は移動しながら、きょろきょろとクレーンゲームを見回す。そして可愛い猫のぬいぐるみの前で、足を止めた。
確か最近、女子の間で人気のキャラクターだ。
「高嶺、こういうの好きなの?」
何気なく尋ねると、高嶺はびくっと肩を跳ね上げる。
「いや……妹にとってあげたら喜ぶかと思って」
高嶺は気まずそうに頰を掻く。
珍しく動揺しているように見えた。
(あれ、そういえば天丼さんって日朝アニメのマスコットキャラとか好きだったよな。ロコロぬいを持ってることからしても、案外可愛いもの好きなのかも)
学校でそんな素振りを見せたことはないので、普段は隠しているのかもしれない。
俺はなんとなく察する。
「もしかして、自分用? 別に隠すことないよ。俺も男の癖にイケメンキャラとか結構好きだし」
「そっか。そうだよな。ののは俺が可愛いもの好きなの知ってるんだった」
どちらかというと、高嶺が可愛いもの好きということよりも、いつの間にか親しげに「のの」と呼ばれていることの方が気になった。
高嶺はそんな俺の心情を知るよしもなく、プラスチックの板にくっついて中の景品を見つめる。
「んー、でもこれ。アーム弱そうだし難しいかな」
「ふふふ、任せとけ」
自慢ではないが、俺はクレーンゲームが得意だ。
攻略動画を見てハマり、一時は毎日のようにゲーセンに通っていた。
このタイプの機種には、アームをぶん回してとるという裏技がある。
「はい!」
俺はとれたてのぬいぐるみを高嶺に渡す。
一発というわけにはいかなかったが、三回目でとれたのなら悪くないだろう。
「ありがと」
高嶺はふわりと柔らかい表情を見せる。
クレーンゲームをした時の高揚感の名残か、俺の心臓はドクドクと煩かった。