地面を掴むスパイクの音と自分の荒い息遣いが、うるさいほどに脳内を埋め尽くす。
赤茶色のトラックを走る白いラインは、終わりなくどこまでも続いていくように感じる。
カーブを曲がって、限界まで力を出し切る。前へ、苦しくてもただ、地面を蹴る。
「ナギ!」
手を挙げて、俺の名前を呼ぶ。
聞こえるのは君の声だけ。
「ハイッ」
スタートを切った律のスピードに置いていかれないよう背中を追いかけて、その手にバトンをぐっと押し込んだ。
数え切れないくらい練習したから、阿吽の呼吸でスムーズにバトンは渡る。律はそのまま振り返らず、もぎ取るようにバトンを受け取った。成功だ。
速度を緩めてトラックから外れた瞬間、体に力が入らなくなって行く。
こんなにも騒がしかったのかと思うほど、競技場内は喧騒に包まれていた。
律がひとり、追い抜いて行く。湧き上がる歓声。
「行け! リツ!」
届かなくても、声を振り絞った。
赤茶色のトラックを走る白いラインは、終わりなくどこまでも続いていくように感じる。
カーブを曲がって、限界まで力を出し切る。前へ、苦しくてもただ、地面を蹴る。
「ナギ!」
手を挙げて、俺の名前を呼ぶ。
聞こえるのは君の声だけ。
「ハイッ」
スタートを切った律のスピードに置いていかれないよう背中を追いかけて、その手にバトンをぐっと押し込んだ。
数え切れないくらい練習したから、阿吽の呼吸でスムーズにバトンは渡る。律はそのまま振り返らず、もぎ取るようにバトンを受け取った。成功だ。
速度を緩めてトラックから外れた瞬間、体に力が入らなくなって行く。
こんなにも騒がしかったのかと思うほど、競技場内は喧騒に包まれていた。
律がひとり、追い抜いて行く。湧き上がる歓声。
「行け! リツ!」
届かなくても、声を振り絞った。