無事に帰宅できたのは良かったのですが、翌日、神楽くんが不運に見舞われたのです。雨に打たれてしまったせいで、風邪をひいてしまったのです。そのことを寮母さんに話すと、世話は私が見るからと言われたのですが、僕は神楽くんのそばに居たいという一心で、「暇なんで、僕が面倒を見ます!」と謎に意気込んでしまい、寮母さんに苦笑いされたのですが、何とか了承を得ることができました。そして僕は、ルームメイトもいない僕の部屋に神楽くんを連れ込み、ベッドで寝てもらったのです。
このことは、神楽くんと2人きりでいたいと願っていた僕にとっては、ちょうどいいタイミングと言っていいのか分からないのですが、とにかく好都合でした。神楽くんとルームメイトの2年生の先輩も含めて、僕と神楽くん以外の寮生たちは実家に帰省していたり、泊まりで練習試合に行ったりしていたために、留守にしていたのです。そして、僕は寮母さんに懇願して、神楽くんの分のうどんを作らせてもらうことにしました。
ただ、ここでとある問題が起きました。そう、僕は調理実習以外で料理をしたことが無かったのです。ですが、うどんなら作れると思った僕は、スマートフォンで検索し、使っていいと言われた材料を使って、きつねうどんを作りました。
実際に作ったうどんを持って部屋に戻ると、ベッドに座っている神楽くんの姿が目に入りました。目をとろんとさせ、少し赤らんだ耳を見て、僕はハグしたくなったのですが、その気持ちをぐっと堪えて、いつも通りの感じで神楽くんに話しかけました。
「神楽くん、うどん作りました」
「えっ、那月が作ってくれたの?」
「はい」
「伸びないうちに食べようかな」
味に自信は持てませんでしたが、神楽くんは「美味しい、美味しい」と言って、しんどそうにしながらも完食してくれました。初めて作った、と言ってもネットのレシピを参照しただけですが、神楽くんに喜んでもらえただけで、僕は空高く飛べそうなほど嬉しかったのです。これからは、神楽くんのために料理を作ろうかとも思いました。
そして、この日、僕は大胆な行動に出たのです。うどんを食べたあと、もう少し寝ると言って眠っていた神楽くんに、「僕に風邪をうつしてください」と囁いて、唇同士をくっつけたのです。初めて男の人の唇を奪ったのですが、味はシロップ漬けのパイナップルぐらい、甘いものでした。
僕の行為のあと、徐に目を覚ました神楽くんは、温もりを持った手で僕の頬を優しく触り、ふっと微笑んだあと、「那月、俺に愛される覚悟ある?」といきなり訊いてきたのです。神楽くんが熱のせいでおかしくなってしまったのかと思って焦っていると、今度は口角をにっと上げて、こう言ってきたのです。
「俺、やっぱり那月のことが好きだ。ずっと、出会ったころから大好きなんだよ。なぁ、那月、俺と付き合ってくれないか?」
完全なる告白でした。僕の頬までも熱を帯び始め、胸がドキドキと早く動くせいで苦しくなったのです。神楽くんの、桜色に染まっていた頬は、僕が呟いたそのひと言で、みるみるうちにチェリーのごとく赤く染まっていきました。
僕が神楽くんのことを同性として、恋愛対象として好きだと気付いてから2か月弱。恋が実った瞬間は、眩しいほどの光に包まれました。この世に生まれてきて約16年。これ以上の幸せを感じたことはなかったので、告白されたあとも胸は激しく音をかき鳴らし続けていました。
この日から、僕は七色に煌めく毎日を過ごすことになるのです。
このことは、神楽くんと2人きりでいたいと願っていた僕にとっては、ちょうどいいタイミングと言っていいのか分からないのですが、とにかく好都合でした。神楽くんとルームメイトの2年生の先輩も含めて、僕と神楽くん以外の寮生たちは実家に帰省していたり、泊まりで練習試合に行ったりしていたために、留守にしていたのです。そして、僕は寮母さんに懇願して、神楽くんの分のうどんを作らせてもらうことにしました。
ただ、ここでとある問題が起きました。そう、僕は調理実習以外で料理をしたことが無かったのです。ですが、うどんなら作れると思った僕は、スマートフォンで検索し、使っていいと言われた材料を使って、きつねうどんを作りました。
実際に作ったうどんを持って部屋に戻ると、ベッドに座っている神楽くんの姿が目に入りました。目をとろんとさせ、少し赤らんだ耳を見て、僕はハグしたくなったのですが、その気持ちをぐっと堪えて、いつも通りの感じで神楽くんに話しかけました。
「神楽くん、うどん作りました」
「えっ、那月が作ってくれたの?」
「はい」
「伸びないうちに食べようかな」
味に自信は持てませんでしたが、神楽くんは「美味しい、美味しい」と言って、しんどそうにしながらも完食してくれました。初めて作った、と言ってもネットのレシピを参照しただけですが、神楽くんに喜んでもらえただけで、僕は空高く飛べそうなほど嬉しかったのです。これからは、神楽くんのために料理を作ろうかとも思いました。
そして、この日、僕は大胆な行動に出たのです。うどんを食べたあと、もう少し寝ると言って眠っていた神楽くんに、「僕に風邪をうつしてください」と囁いて、唇同士をくっつけたのです。初めて男の人の唇を奪ったのですが、味はシロップ漬けのパイナップルぐらい、甘いものでした。
僕の行為のあと、徐に目を覚ました神楽くんは、温もりを持った手で僕の頬を優しく触り、ふっと微笑んだあと、「那月、俺に愛される覚悟ある?」といきなり訊いてきたのです。神楽くんが熱のせいでおかしくなってしまったのかと思って焦っていると、今度は口角をにっと上げて、こう言ってきたのです。
「俺、やっぱり那月のことが好きだ。ずっと、出会ったころから大好きなんだよ。なぁ、那月、俺と付き合ってくれないか?」
完全なる告白でした。僕の頬までも熱を帯び始め、胸がドキドキと早く動くせいで苦しくなったのです。神楽くんの、桜色に染まっていた頬は、僕が呟いたそのひと言で、みるみるうちにチェリーのごとく赤く染まっていきました。
僕が神楽くんのことを同性として、恋愛対象として好きだと気付いてから2か月弱。恋が実った瞬間は、眩しいほどの光に包まれました。この世に生まれてきて約16年。これ以上の幸せを感じたことはなかったので、告白されたあとも胸は激しく音をかき鳴らし続けていました。
この日から、僕は七色に煌めく毎日を過ごすことになるのです。