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 斎藤りゅうせいを見送った翌日。
 ふああ、と欠伸をしながら通学路を歩いていると、茜が「りゅうせい君、大丈夫だったかな……」と心配そうに呟いた。
「あんた、まだあいつのこと心配してたの。お節介にもほどがあるわ」
 斎藤りゅうせいがどうなったのか、私たちには知る手立てもないし、知る必要もない。
「えー、そんな、薄情な……」
 不満げな顔をした茜を放ってそそくさと歩くと、公園に差し掛かった。
「……ま、あいつが大丈夫だったかどうかは知らないけど」
 言いながら私はちらりと横を見る。
「きっと、どっかで星にでもなってんじゃないの」
 視界に映った公園の滑り台の上。——星になりたいと言った彼の姿は、もうそこにはなかった。