茜の衝撃の告白に、私は目を見開いた。
今までずっと幽霊が見える人間だと思っていた茜が、私と同じではなかったこと。
茜が私と友達になったのは、死んだ従兄弟の代わりでしかなかったこと。
確かにそれはショッキングな内容だった。
でも、それは、茜が気にしているよりはずっと小さな衝撃だった。
そりゃあ、全く傷付かないと言えば嘘になる。でも、色々と納得できることが多かった。屋上の扉の開け方を知っていたこととか、初恋の人の話とか、幽霊が見える人間にしては知らないことが多かったりだとか。むしろ、ただ私と友達になりたかったと言われるより、その従兄弟と重ねていたからと言われる方がよっぽど納得できる。
だから、いい。茜の嘘を、私は許す。私も茜を引き留めて迷惑をかけたし、お互い様だ。
それに、茜が私に〝嫌われるのが怖い〟と思ってくれるほど、私のことを好きになってくれていたのなら、それでもう十分だったのだ。
「いいよ、茜。嘘吐いてたの、許す」
だから、心置きなく成仏して。
そう言った、その時だった。
「……じゃあ、どうして」
低く、茜が呟いた。そして、顔を上げる。
笑っているかと思っていた茜は、思ったよりもずっと険しい顔をしていた。
「じゃあ、どうして、──レイは、死のうとしてるの」
その言葉に、私は息を呑んだ。
──茜の言葉は、図星だったから。