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 持ってきた一通の手紙をある人の机の上に置き、もう一通はまだスカートのポケットに忍ばせて、私は屋上にやって来た。
 全てを終わらせるなら、やはり、全てが始まったここがいいと思ったから。
『許すけど、でもその代わり、一つだけお願いを聞いてほしいの』
 あの日した約束を、私はちゃんと覚えている。
『そう、お願い。いつかこの先、私がレイにお願いしたら、そのお願いを聞いてくれるって、約束してくれない?』
 あの日の約束の意味を、私はちゃんとわかっている。
『──約束、守ってね』
 それが呪いと言われようが、エゴと言われようが、構わない。私は私のためだけに、この約束をしたのだ。
「レイ、待ってるよ」
 まだ暗い夜の中で、私はまだ来ない夜明けを待つ。