七月十八日。
 今日もまた屋上で、昼休みを過ごしていた。
 もう大分暑くなり、日差しの照りつける屋上は辛いものがあるけど、それでもあの教室で過ごすよりはマシだった。鬱陶しい視線と陰口を浴びなくて済む。
 あんな仕打ちをしても、未だに私に話しかけることを止めない小久保一樹(どうしようもない馬鹿)のせいで、私の計画はなかなか上手く進まない。
 どうしようか、と考えあぐねながら屋上にやって来たのだが。
「レイー、なんであんなに小久保君に冷たくするの? レイが何か悩んでるのはわかるけど、あれじゃ小久保君があんまりだよ」
 隣に座った茜が眉を下げた。相も変わらずにこいつは人のことばかりを気にする。
 ──人のことなんて、気にしている場合じゃないくせに。
 思わず心の中で漏れた本音をひた隠し、私は「別に。放っといて」と軽く茜をあしらった。
「あー! 私のこと適当にしとけば引っ込むとでも思ってるんでしょ‼」
 ギャーギャー騒ぎだした茜に、私はうんざりと目を閉じた。
 夏の照り付ける日差しは、容赦なく私を焼いていく。でも、そんな日差しよりも、今日は頭上に広がる青空の方が鬱陶しかった。
 ……ああ、あの日と同じだ。
 あの日も、こんな綺麗な青空だった。
 目を閉じても、瞼の裏に映って消えない青を、私は何度も思い出す。
 何度も、何度も何度も、消えないその記憶を、私は思い出す。
 ──私があの日、屋上で犯した罪を。