「ねぇ、見た見た?期末テストの結果!」
「見たわよ〜今回もすごいわよね!」
7月の中旬に行われた期末テスト。
その結果が、職員室前の掲示板に張り出された。
各学年の上位20名の名前がそこに並んでいる。
誰の名が張り出されているのかみんな興味津々であり、毎回掲示板の前には人だかりができる。
僕はそんな彼らから少し離れ、廊下の窓際でその様子を眺めていた。
「……」
出雲 涼太
掲示板に、その名前はあった。紛うことなき僕の名前。
遠目から見てもすぐに分かる、上の方に。
けれど……
「また2位……」
200名以上いる学年の上位20名。
さらにそのトップに君臨するのは、残念ながら僕の名前ではなかった。
学年首席。その栄光ある頂を掴んだ名は⋯⋯。
「すっげー、また2年5組の神崎 京介が1位かよ!」
「あいつ普段ヘラヘラしてるのにいつ勉強してるんだ?」
「それな!この前なんか、2組の川上さんと帰ってるの見かけたわ」
「は?あいつ4組の佐藤さんと付き合ってんじゃねーの?」
僕は拳を強く握りしめた。表情には出さないようにしているが、心の中は嵐のように荒れ狂っていた。
なぜ?どうして?
今回は今まで以上に勉強してきたのに!
予習も復習も完璧で、テストの見直しだって十分だったはず……!
イライラを悟られぬよう、僕はメガネのブリッジを強く押し上げた。
「あ、噂をすれば……」
「首席様のお通りだぜ!」
あんなに群がっていた生徒が一斉に道を開けた。
当然のごとく堂々と歩いてくる一人の男子生徒。少し伸びた髪を肩に流すように一つにまとめ、模範的とは言い難いラフな格好で掲示板の前で足を止めた。
「あ!今回も京介君が1位だね!」
「ほんとだ、凄いじゃん!」
後ろからやってきた可愛らしい一軍女子達が、彼の両腕に絡みつく。
しかし当の本人は少し眠たげで、興味なさげにぼーっと掲示板の方に視線を送る。
「うん、よかった。また1位取れたわ」
神崎 京介
恵まれた身長と顔を兼ね備え、スポーツ万能、さらに不動の学年トップという栄光をも我がものとする。
そして彼は僕の⋯⋯僕の幼馴染でもあった。
「見たわよ〜今回もすごいわよね!」
7月の中旬に行われた期末テスト。
その結果が、職員室前の掲示板に張り出された。
各学年の上位20名の名前がそこに並んでいる。
誰の名が張り出されているのかみんな興味津々であり、毎回掲示板の前には人だかりができる。
僕はそんな彼らから少し離れ、廊下の窓際でその様子を眺めていた。
「……」
出雲 涼太
掲示板に、その名前はあった。紛うことなき僕の名前。
遠目から見てもすぐに分かる、上の方に。
けれど……
「また2位……」
200名以上いる学年の上位20名。
さらにそのトップに君臨するのは、残念ながら僕の名前ではなかった。
学年首席。その栄光ある頂を掴んだ名は⋯⋯。
「すっげー、また2年5組の神崎 京介が1位かよ!」
「あいつ普段ヘラヘラしてるのにいつ勉強してるんだ?」
「それな!この前なんか、2組の川上さんと帰ってるの見かけたわ」
「は?あいつ4組の佐藤さんと付き合ってんじゃねーの?」
僕は拳を強く握りしめた。表情には出さないようにしているが、心の中は嵐のように荒れ狂っていた。
なぜ?どうして?
今回は今まで以上に勉強してきたのに!
予習も復習も完璧で、テストの見直しだって十分だったはず……!
イライラを悟られぬよう、僕はメガネのブリッジを強く押し上げた。
「あ、噂をすれば……」
「首席様のお通りだぜ!」
あんなに群がっていた生徒が一斉に道を開けた。
当然のごとく堂々と歩いてくる一人の男子生徒。少し伸びた髪を肩に流すように一つにまとめ、模範的とは言い難いラフな格好で掲示板の前で足を止めた。
「あ!今回も京介君が1位だね!」
「ほんとだ、凄いじゃん!」
後ろからやってきた可愛らしい一軍女子達が、彼の両腕に絡みつく。
しかし当の本人は少し眠たげで、興味なさげにぼーっと掲示板の方に視線を送る。
「うん、よかった。また1位取れたわ」
神崎 京介
恵まれた身長と顔を兼ね備え、スポーツ万能、さらに不動の学年トップという栄光をも我がものとする。
そして彼は僕の⋯⋯僕の幼馴染でもあった。