翌日の放課後、俺はいそいそと家に帰った。いそいそ帰ったから、宅配BOXに荷物を入れようとしていた配達のお兄さんと鉢合わせて、その場で受け取ったくらいだ。
 大きな段ボールを部屋に運び込み、中身を取り出してたたむ。甲斐の真似をして習得したから、今では俺の段ボールたたみも堂に入ったものだ。全然なんの自慢にもならないけど。

 そうしていつものようにやってきた甲斐は、ふたつ並んだクッションに目を瞬いた。

 いいぞ。してやったりだ。
 ふふんと鼻を鳴らして一緒に届いた漫画を取り出すと、俺は新品のクッションにぽすっと背中を預けた。

 甲斐は無言のままもうひとつのクッションに――は収まらず、わざわざ俺のクッションのほうにやってくる。
「いやなんでだよ!」
「こっちがいい」
 甲斐はなぜかむすっとしている。

 なるほど、新しいほうがいいってか。当然のようにいいもののほうを要求する陽キャメンタルにおののく。その間にもぐいぐい肩で押してくるのが鬱陶しくて、俺はため息をついた。
「じゃあいいよ、俺がこっちで。」
 ジャイアンめ。心の中で言い捨てて起き上がると、俺は古いクッションに移動する。
 ああこの包み込む感じ。こっちはこっちで慣れ親しんだ感があって悪くない。
 新品は甲斐にくれてやろうなどと悦に入っていると、甲斐がこっちのクッションにやってきて、ぐいぐい肩で押してくる。
 全然漫画の内容に集中出来ない。
 なんなんだ。俺が包み込まれるようにくつろいでるのを見て、やっぱり古い方がいいと思ったのか!?

 ムカついて、ぎゅーむと肩で強めに押し返す。

 甲斐も押し返してくる。

 俺は再び押し返す。

 当然のように甲斐も押し返して来て、結局俺はごろんと床に押し出された。
「なんだよ! 快適な方がいいかと思ってわざわざ買ったのに!」
「あっそ」

 なぜか甲斐は不機嫌そうに呟く。
 それでも律儀に漫画は一緒に読ませてくれた。