◇
二学期終業式が終わり、体育館からぞろぞろと生徒が教室へ戻って行く。そのあとは掃除やHRがあって、お昼頃に学校は終わった。
「俺に会えないからって寂しがるなよ、矢野」
どこまでも鳥羽は鳥羽らくて、
「じゃあまた三学期になー!」
柳木は最後まで元気だった。
そして、俺は生徒会室に立ち寄る。今日は作業はないけれど、最後のあいさつがあると言っていたからだ。
「じゃーみんな、次に会うのは年が明けてからだから風邪引かないようにね」
会長からのあいさつで締め括られる。
──はずだったのに。
「ちょっと待て! これではいさよならーってか?」
横槍を入れたのは、もちろん武田先輩。
「うん、そうだけど」
「はぁ? まじで忘れてるとかありえねー……」
不満たっぷりに不貞腐れる武田先輩に、「忘れてるってなにを」と会長が首を傾げる。
「なにって今日は待ちに待ったクリスマスじゃん! そんなことも忘れたのかよっ!」
「いや、知ってるけど。それと今日はイブだから」
「じゃーなんでそんな冷静なんだよっ!」
「じゃあ逆になんで武田はそんなに激おこなの?」
会長の口からひょんに現れた言葉によって気が抜けたのか、「げ、激おこ……?」と急激にクールダウンする武田先輩。その姿を見てみんなで顔を見合わせて笑った。
「そう、武田。さっきからすごい激おこじゃん。クリスマスに苦い思い出でもあるの?」
「いや、べつにそういうわけじゃねーけど……」
口籠る武田先輩を見て、「あー分かった」と会長はわずかに笑みを漏らした。
「武田、クリスマスに一人で過ごさなきゃいけないのが寂しいんでしょ」
「……はあぁぁ?」
「寂しいなら寂しいって言えばいいのに。武田ってば素直じゃないね。夏樹もそう思わない?」
クスッと笑った会長が、ふいに夏樹先輩に話を振るから先輩は一瞬困惑したけれど、
「ああ、そーだな。タケ、寂しいくせに素直になれない天邪鬼だもんな」
夏樹先輩までもが武田先輩をからかいだす。
「えー、武田先輩寂しいんですか?」
「そうなんですか?」
だから、一年までもがこうやってニヤニヤしだす。
それを聞いた武田先輩は顔が赤くなる。
「ちっげーよ! べつに寂しくなんかねーし!」
やっぱり素直にはなれないようで。
天邪鬼な武田先輩。
二学期終業式が終わり、体育館からぞろぞろと生徒が教室へ戻って行く。そのあとは掃除やHRがあって、お昼頃に学校は終わった。
「俺に会えないからって寂しがるなよ、矢野」
どこまでも鳥羽は鳥羽らくて、
「じゃあまた三学期になー!」
柳木は最後まで元気だった。
そして、俺は生徒会室に立ち寄る。今日は作業はないけれど、最後のあいさつがあると言っていたからだ。
「じゃーみんな、次に会うのは年が明けてからだから風邪引かないようにね」
会長からのあいさつで締め括られる。
──はずだったのに。
「ちょっと待て! これではいさよならーってか?」
横槍を入れたのは、もちろん武田先輩。
「うん、そうだけど」
「はぁ? まじで忘れてるとかありえねー……」
不満たっぷりに不貞腐れる武田先輩に、「忘れてるってなにを」と会長が首を傾げる。
「なにって今日は待ちに待ったクリスマスじゃん! そんなことも忘れたのかよっ!」
「いや、知ってるけど。それと今日はイブだから」
「じゃーなんでそんな冷静なんだよっ!」
「じゃあ逆になんで武田はそんなに激おこなの?」
会長の口からひょんに現れた言葉によって気が抜けたのか、「げ、激おこ……?」と急激にクールダウンする武田先輩。その姿を見てみんなで顔を見合わせて笑った。
「そう、武田。さっきからすごい激おこじゃん。クリスマスに苦い思い出でもあるの?」
「いや、べつにそういうわけじゃねーけど……」
口籠る武田先輩を見て、「あー分かった」と会長はわずかに笑みを漏らした。
「武田、クリスマスに一人で過ごさなきゃいけないのが寂しいんでしょ」
「……はあぁぁ?」
「寂しいなら寂しいって言えばいいのに。武田ってば素直じゃないね。夏樹もそう思わない?」
クスッと笑った会長が、ふいに夏樹先輩に話を振るから先輩は一瞬困惑したけれど、
「ああ、そーだな。タケ、寂しいくせに素直になれない天邪鬼だもんな」
夏樹先輩までもが武田先輩をからかいだす。
「えー、武田先輩寂しいんですか?」
「そうなんですか?」
だから、一年までもがこうやってニヤニヤしだす。
それを聞いた武田先輩は顔が赤くなる。
「ちっげーよ! べつに寂しくなんかねーし!」
やっぱり素直にはなれないようで。
天邪鬼な武田先輩。