どうしていいか私は分からない。グランの言ったことが本当に起きて欲しくないと思っている。だけど……広場をみていると、それが本当になりそうな雰囲気だ。

 どうしましょう? グランは何もするなって言っていたけど本当に止めなくてもいいのでしょうか。ですが私にそんな力もありません。
 やはりみてるだけしかできない……歯がゆいです。

 そう思いながら私は広場から目を逸らした。
 そうこう思考を巡らせていると広場から声が聞こえ私は気になりみる。
 広場の中央には貴族の服装をした者が立っていた。

 はて? どこかでみたことがあるような。えーっと……誰でしたでしょうか?

 見知った顔のはずなのに名前が出てこない。そのため一生懸命、思い出そうとする。

 「あっ、ティオベルジェ・ベンゼルでしたわ!」

 ふと思い出し私は声に出してしまった。

 「メルナ……誰の名前なんだ?」

 いつの間にかグランが私の傍に来ていて、そう問いかける。
 私は一瞬おどろき声を出しそうになるもとどまった。そして聞かれたことを小声で教える。

 「なるほど……だが、なぜそんな偉いヤツのことを知っている?」
 「それは……今ここで話せません。それに彼と私は面識があります。ですので、どこかに隠れたいのですが?」
 「それなら荷馬車の中に居ればいい。荷馬車の中に居ても警備に支障はないからな」

 それを聞き私は申し訳ないような気持になるも荷馬車の中へ急ぎ入った。

 ★♡★♡★

 メルナは荷馬車の中に入った。そういえば、メルナって元々庶民なのか、もしかしたら貴族だったのでは?
 それを踏まえ今までのことを考えると、あり得ないことじゃない。

 そう思考を巡らせながら荷馬車へ視線を向けたあと広場をみる。

 もしそうだったら、なぜ平民のフリをする必要があるんだ。家出なのか? それならあり得るかもしれない。まあそのことは、あとで聞いてみるか。
 それはそうと、メルナの話だと……あの中央で話をしているヤツはティオベルジェ・ベンゼル。そして隣町カリスオロの若き領主。
 確かカリスオロの前領主は病でなくなったと聞いたことがある。そして一人息子が跡を継いだともな。でも、なんでそんなヤツがこんな所に居るんだ?

 不思議に思いオレは首を傾げた。

 んー何を話しているのか、ここまで聞こえてこない。話の内容が分かればいいんだがな。

 そう思いながらオレは広場をみている。

 ★♡★♡★

 あーどうしましょう。こんな所をティオベルジェにみられたら、なんて言われるか。学園でも色々言われましたしね。

 そう思い私は苦笑した。

 それはそうと……ティオベルジェが、なんでこんな所に居るのかしら? まさか反乱を犯そうとしている首謀者なんてことはないわよね。

 私はそんなことが頭に浮かび心配に思う。そして荷馬車の隙間から広場の様子をみた。