オレは現在メルナの膝の上に頭を乗せている。

 ああ……やわらかな膝だ。それだけじゃないオレの頭を撫でる手の指は細くて可愛い。このまま……ずっとこうして居たいんだけどなぁ。
 ……そういえば仕事しないと。こんな状態で起きれるのか? だが穴をあける訳にいかないな。

 そう思いオレはなんとか重い瞼を開いた。

 「グラン、目が覚めたのですね」
 「ああ、起きないと」

 そう言いオレは起きようとした。だが立とうとした拍子にメルナの方に、よろけてしまい押し倒す。

 「……」
 「……」

 柔らかくて、プニプニの胸……ハッ!? オレは何をやってるんだ!

 オレはやってしまった。偶然とはいえ、メルナの胸を……。

 「ご、ごめん……そんなつもりはなかったんだ」

 そう言いオレは慌ててメルナから離れる。

 ★♡★♡★

 あーえっと……グランは、わざとじゃない。でも私は、そのまま先に進んでも良かったのですが。だけど……グランは、その気がないのですよね。

 「グラン、大丈夫ですよ。よろけて私の方に倒れただけですもの。ただ胸を触られたのは、流石に驚きましたわ」
 「あー悪かった。偶々手がそこにあたって……」

 そう言いグランの顔が赤くなった。

 グラン……これ以上言わない方がいいですよね。だってグランは触りたくて私の胸を触った訳じゃないのですから。

 「そのことは気にしませんわ。それよりも怪我の方は大丈夫なのですか?」
 「いや、まだ完全じゃない。だが……仕事をしないと」
 「そうかもしれませんが……無理をして怪我が酷くなったら大変です」

 諦めてくれるかしら? こんな酷い怪我をしているのに仕事だなんて無理だわ。
 それに怪我をしたのだって私のせいですし……なんとか止めませんと。

 「このぐらいは大丈夫だ。それに荷物を運ぶ手伝いをするだけだしな」
 「それでも傷が開いたら大変ですわ」
 「心配してくれて、ありがとうな。そうだな……メルナも同じ仕事をする。それなら傍に付き添っててくれ」

 えっ? 確かに一緒に仕事をするってことでしたけど。でも……そうですね。付き添っていれば傷の手当てもできます。

 「分かりましたわ。ただ無理はしないでくださいね」
 「ああ、勿論だ。じゃあ行こうか」

 そう言いグランは、ゆっくり立ち上がる。
 そのあと私は立ち上がった。

 「歩けます?」
 「走らなければ大丈夫だろう」
 「そう……なんか申し訳ありませんわ。グランが、こうなったのも私のせいですもの」

 そう言い私はグランの背中をみる。

 「そのことは気にするな。メルナは、わざとやった訳じゃない」

 グランは振り返り優しく笑いそう言ってくれた。
 その笑顔をみた私の胸は、ドクンドクンと激しく鼓動が高鳴ってくる。

 ああ……やっぱりグランは素敵ですわ。カッコいいうえに素敵な笑顔……こんなに理想の相手の傍に居られるなんて贅沢すぎますわよね。

 「どうしたんだ? 顔が赤いぞ」
 「ハッ! いえ、なんでもありませんわ。あーそうそう……仕事、急ぎましょう」
 「お、おお……そうだな」

 なんとか誤魔化せましたわよね?

 そう思い私はグランと話をしながら町へ向かい歩いた。