『今日も黒田くんのためにおにぎり作ったよ』
『白川、ありがとうな』
『ついでに僕のことも食べてほしいな』
 白川が俺の膝の上に乗ってきた。
『え、ちょ、白川?』
『黒田くん、好き』
 俺の膝の上で目を閉じる白川。
 マジかよ。
 いいのか?
 いいよな?
『白川! 俺も好きだぁ!!』
 俺は白川を力いっぱい抱きしめた。
 ああ、くそ、かわいい。
 白川、好きだ。
『黒田くん』
 き、キスしないと。
 白川が目を閉じて待っている。
 キスしていいよな?
 夢みたいだ。
 ん? 夢?
「黒田ぁ! 起きろ!」
「ふえっ」
 顔を上げると目の前に先生が立っていた。
「ずいぶん気持ちよさそうだったな黒田」
 先生の言葉で教室に笑いが起こった。
「げっ」
 ふりむくと白川も笑っていた。
「くそ、夢かぁ」
 そうだよな。
「なんだ黒田。そんなにいい夢だったのか」
 先生が教壇に戻った。
「めっちゃいいとこだったのにぃ」
 みんなで笑っているとチャイムが鳴った。

「なんだよいい夢って。そういえばあれからどうなったんだよ。黒髪美人には告白したのか?」
 すぐに赤星が俺の席までやってきた。
「は? するわけねえだろ」
 ああ。
 夢の中の白川もかわいかったなあ。
「いいか。そんなに美人だったらすぐに他の男にとられちまうぞ。なんならもう彼氏か好きな人くらいいるかもしれないじゃん」
「へ?」
 なんだって!?
「お前さあ。よく考えてみろよ。そんなの当然だろ?」
 確かに赤星の言う通りだ。
 もしも白川に彼女がいたら?
 好きな子とかいるのかな。
 やべぇ。
 俺白川のことなんも知らねえ。
 白川のこと、いろいろ知りたいよな。