恋ソング

退院を一週間後に控えたある日。退院は嬉しいことだ。でも、それ以上に桜川さんに会えなくなる寂しさが大きかった。会えなくなることが不安で、海の底に連れて行かれたかのように息苦しくなった。もう桜川さんに会えるのはあと何日かしかない。その中で話せるのは一体どれくらいの時間だろうと考えていた。この好きだという思いを桜川さんに伝えるか迷っている。想いを伝えず、このまま綺麗な思い出として残しておく。それか、もう最後だから当たって砕ける精神で伝えてしまうか。そんなことばかりが頭の中のほとんどを占めていた。すると、誰かが私の部屋をノックした。もしかして桜川さんではないかと希望を持ち、返事をする。
「七瀬さん。一緒にお散歩行きませんか?」
私の予想は当たっていた。それに加えて、桜川さんと外へ行くのは初めて。本当に桜川さんが私の横を歩いてくれるのだ。夢のようだ。もちろん私には、はいと頷く以外の選択肢はない。私は毎日と言っていい程、看護師さんと病院の周りを歩いている。