「……美しい」

 ただの飴に、うっとりとしている姿を見てギョッとしながらも真似をしてみる。すると飴に太陽の光が透けて見える。この光景が皇子にとったら美しく見えるのかと思う感受性に驚く。

「良い匂いがする」

「それは多分、苺味」

「イチゴ?」

「果物だよ。早く食べてみてよ」

 そう即すと皇子は飴を頬張りながら目を閉じる。しかし、すぐに瞳を大きく見開いた。

「……な、何と上品な味なのだ。それに、消えていくではないか」

 この時代に砂糖があったのかは知識にはないが、あったとしても恐らく高価なものなのだろう。浜田が昔は砂糖が貴重だったと言っていた記憶がある。