「皇子。休憩しようか」

 先程、五月雨さんが飲み物を持って来てくれた。と、言ってもただの水。しかし、この時代の水は冷たくて雑味がなくとても美味しいから不満はない。皇子は私の隣に座ると水をゴクゴクと飲み干す。

「優花殿は色々な遊びを知っているのだな」

「そんなことないよ」

「身体を動かすとは気持ちの良いものなのだな」

 __ケンケンパッは運動なのかな?
 そう思ったけれど基本は縁側で外を眺めているだけの皇子にとったら、なかなかハードだったかもしれない。

「じゃあ明日は座ってできる遊びをしようか」

「楽しみだ」

 ニコニコと笑う姿に私は時雨さんから受け取った袋を差し出す。

「食べる?」

「何だ? これは?」

 この時代に飴があるかわからない私は「とりあえず、食べてみて」 と、皇子の手の平に赤く丸い飴を乗せる。すると、皇子は飴を太陽の光に翳して溜め息を漏らした。