「友達だよ」

「え?」

「私は皇子の友達だよ?」

 皇子という立場の人に私が友達なんて言うのは、きっと失礼なことなのだと思う。この時代で、この人は皇子で私は侍女。だけど私にとって一緒にご飯を食べて、一緒に寝て、一緒に笑って、一緒に叩いて被ってジャンケンポンをする。それはもう友達だから。

「……友達」

 そっと手を差し伸べると白くて陶器のような手を握る。遠い遠い昔の私が関係ないと思っていた人の手。その熱を想像したことなんてなかった。だけど今は私の目の前で生きている。そして皇子の手は、とても温かい。