「嬉しいのだ。このように私を皇子ではなく一人の人間として接してくれることが。共に笑えることが」

 優しく触れるその熱に私の身体は動けなくなる。だけど心臓だけが忙しなく動きだす。

「……友達はいないの?」

 皇子でも同じような身分で同じぐらいの年齢ならば友達にだってなるのではないだろうか。

「おらぬな」

 だけど皇子は小さく否定する。

「皆、敵だからな」

「敵?」

「この身に生まれた故」

 また切れ長の瞳に切なさが滲む。
 私にはこの時代の仕組みも考えかたもわからない。だけど、そんなの悲しいと思った。