「……なかなか、難しいのう」

「……皇子。……もっと早く、動くかないと」

 この遊びは、なかなか疲れる。

「「叩いて被ってジャンケンポン!!」」

 ジャンケンに勝利した私はハエ叩きを持って思いっきり手を振り上げる。皇子は可憐に帽子を被る。ワンテンポ遅れて私のハエ叩きが皇子の被っている帽子にあたる。ポンッと間抜けな音が響いた。

「やったぞ!」

 私の攻撃を阻止できたことが、余程嬉しかったのだろう。本来なら引き分けだけど、まぁいい。
 皇子は後ろにひっくり返る。私はハエ叩きを放り投げ前のめりに倒れる。
 __地味に疲れた。
 先程まで冷えていた身体からはジンワリと汗が滲んでいる。