「日本以外の国って言えばわかる?」

「ニホン?」と、瞬きをされて思わず苦笑する。

「大和だったね」

「そうだ」

 こうして、皇子との会話は歴史の勉強にもなる。

「大和以外の国なんだけど……」

「異国ということか?」

「そうそう。異国のお菓子が恋しくなった」

 __クッキー。チョコレート。マドレーヌ。
 令和の時代ではあまり前に存在していた洋菓子も、この時代から見ると遥か未来に誕生した存在。皇子に食べさせてあげたいけれど到底叶わないと思うと何だか切ない。