正直、誤魔化し半分本音半分。
 この時代の食事は一日二食。朝と夕だけ。時計がないから私には時間がわからないけれど朝食から夕食までの時間がとてもとても長く感じる。

「皇子は、お腹空かないの?」

「空かぬ。朝餉を食べたであろう」

 その燃費の良さは尊敬する。

「……ショートケーキが恋しい」

 思わず呟くと皇子は首を傾げる。

「洋菓子。ふわふわのスポンジに苺がサンドされていて、生クリームがたっぷり乗って美味しいんだよ」

「……ヨ、ヨウ? ……ス、ポン?」

 皇子にとったら未知の単語は聞き取ることすら難しいようだ。

「元は海外から来たもので、確かカステラがケーキの始まりだとかなんとか」

 浜田がペリーだとか黒船だとか言っていたことを突然思い出したけれど、うる覚えに過ぎない。

「カイガイ?」

 こうして尽く通じない単語が沢山あるから会話に困ることも多いけれど、私だって飛鳥時代の言葉や物を知らないからお互い様だ。こうやって何気ない会話を通し互いの生きてきた時代のことを知れたら良いと思う。