「私は皇子と同じ世界の人間なの」

「……同じ？」

「そう。ただ時代が違う。私は、この時代より1400年後の日本。大和国に生まれた」

「……1400年」

　その果てしない数字に、皇子はやっと口を開くと固まってしまった。

「私も同じ気持ちだった。1400年前の世界なんて想像できないし、本当に存在していたのかすら疑ってた」

　目の前で動いてる姿なんて。歌を詠む姿なんて。想像すらできなかった。

「だけど存在してた。同じように未来も存在してる。私はその未来から来た」

　こんなこと信じてもらえないかもしれない。だけど、いつも私に真っ直ぐな瞳を向けてくれる人に私自身も真っ直ぐ向き合いたい。