「優花様。朝餉のご用意が整いました」

 コロコロと心地よい鈴のような声に、ゆっくりと目を開く。すると目の前にはパッチリとした大きな瞳が二つ。

「ひっ!」

 __誰!?
 そう思ったのは束の間。徐々に昨日の記憶と共に思い出す。

「さ、五月雨さん。お早うございます」

 __ここは飛鳥時代。
 どうら、目が覚めても未来には戻っていないようだ。

「おはようございます」と、二ッコリ微笑む顔がどこか麻美と重なる。その瞬間、心と一緒に身体に寒さを感じた。暖房も床暖房もない板の間は寒いし身体が痛い。