凛と伸びた背筋に優雅な箸使い。食事をしているだけで、その身分が垣間見える。

「どうかしたのか?」

 私の視線に気づき小首を傾げる姿も。「綺麗に食べるね」と、言うと「そ、そうか?」と、気恥ずかしそうにはにかむ顔も。同世代の男の子達とあまり変わらないのに、気品のある佇まいやふとした動作は大人びていて何だかギャップに戸惑ってしまう。


「……愉快だな。このように他愛もない話をしながら、食事をすということは」

 ふいに呟く皇子の顔は微笑んでいるのに翳りが見える。

「いつもは、一人なの?」

「いや。侍女がいるが会話はしない」

「……そうなんだ」

 頷きながら、侍女の前では目が虚ろキャラだったことを思い出す。