「優花殿は私の側におくぞ~? 兎の化身だ~。皆も大事にするようにな~」と、虚ろな目で皇子が笑う。正直、怖いからやめて欲しい。

「ぎょ、御意」

 しかし素直に平伏す三人を見て皇子の言った通りだと思った。彼女達の瞳を見れば誰も疑っていないことがわかる。こんな茶番劇でも信じてしまう程、彼女達の中で皇子の言葉が全て。と、いっても皇子自身も「兎の化身」だと本気で信じていた。もしかしたら、この時代の人達は超自然的なことを信じやすい傾向にあるのかもしれない。

「優花殿も食べてみよ~」

 私は素直に皇子の隣に置かれたお膳の前に座る。正直、外でしばらく待機していたから身体が冷えたしお腹も空いている。三人に信じてもらえたことにホッとしながらお膳に並ぶ料理を眺めてギョッとする。