「それより、オウジは何で目を虚ろにして変な喋り方をするの?」

「……オウジ?」と、首を傾げる姿に「ミコ」という呼び方でないと通じないことを知る。しかし私の勝手な主観でしかないが、ミコは「巫女」のイメージが強くあり何だかしっくりこない。

「月ではミコ様とオウジは同じ意味なんだけどね」

「そうなのか?」

「うん。だからオウジって呼んでいい?」

「良い」

 コクリと頷く姿は先程までとは異なりしっかりとしている。やはり虚ろな目も話し方も不自然でしかない。

「それより、何でなの?」

「……それは、色々あるのだ。ともかく、ジジョがいる時はまともに話さぬ決まりなのだ」

 どんな決まり?と、思いながらも逸らされる瞳にこの話しはあまりしたくないのだと悟る。

「まあ。わかった。それよりジジョって何?」

 長女、次女の、次女?皇子の言う通りに口にしたのはいいけれど肝心の意味をまだ理解していない。