「皇子様は、誠にお優しいのですね」と、女性達が顔を見合せ朗らかに微笑む姿に今がチャンスと私は走り出す。
「ごめんください!」
縁側に飛び乗ると背筋を伸ばし正座をする。
「っ!?」
驚いて振り返る女性達の後ろで皇子が大きく頷いたのを合図に、私は深々と頭を下げた。
「私は昨日、助けていただいた兎にございます。アリマノ皇子様にお礼をと月より参りました」
一瞬にして場が静まり返る。
無理もない。見ず知らずの女が兎の耳つきフードを被って鶴の恩返し風に現れたのだから。
正直、今直ぐにでも帰りたい。穴があったら入りたい。だけど今の私に帰る場所も入る穴もない。
__ここしかないのだ。
自分に強く言いきかせ堂々と顔を上げる。
絶対に上手くいくはずがないと思いながらも、皇子のことを信用するしか道はなかった。
「これは、これは。昨日の兎ではないか~」
何故か意図的に目を虚ろにさせている皇子と共に、女性達は訝しげな顔でゆっくりと私に近づいてくる。
「ごめんください!」
縁側に飛び乗ると背筋を伸ばし正座をする。
「っ!?」
驚いて振り返る女性達の後ろで皇子が大きく頷いたのを合図に、私は深々と頭を下げた。
「私は昨日、助けていただいた兎にございます。アリマノ皇子様にお礼をと月より参りました」
一瞬にして場が静まり返る。
無理もない。見ず知らずの女が兎の耳つきフードを被って鶴の恩返し風に現れたのだから。
正直、今直ぐにでも帰りたい。穴があったら入りたい。だけど今の私に帰る場所も入る穴もない。
__ここしかないのだ。
自分に強く言いきかせ堂々と顔を上げる。
絶対に上手くいくはずがないと思いながらも、皇子のことを信用するしか道はなかった。
「これは、これは。昨日の兎ではないか~」
何故か意図的に目を虚ろにさせている皇子と共に、女性達は訝しげな顔でゆっくりと私に近づいてくる。