ニコニコと笑いながら肩の長さで切り揃えられた黒髪を、サラサラと揺らしている。
 愛嬌があって、可愛くて、頭も良くて。 だけど、麻美が興味があるのは歴史だけ。
 もし私が彼女になれたのならば、頭が良くて格好良い彼氏の一人や二人……。って、そもそもこの学校にそんな男子はいない。
 そういう私とて、盛ってせいぜい中の中。嘆ける身分ではない。
  麻美のように「歴史」や何かに心を動かされることもなく、ただ海を漂う海月のように毎日という時間にぼんやりと流されながら息をしている。
 他の子のように学問や部活や恋愛に精を出す気力すら持ち合わせてはいない。