脳裏にあの絵が浮かぶ。
 藤白神社にあった皇子の絵と目の前にいる門番の服装が良く似ているのは気のせいだろうか。
 そういえば私は、あの瞳を見つめていたら吸い込まれて……。思い出した瞬間、全身に鳥肌が広がる。
 __まさか。まさかね。そんなはずがない。
 波打つ心臓を無視して私は誰にも見つからないように出口を探す。だけどどこの門にも門番がいて抜け出せそうにない。声を掛けて通してもらえば済む話しなのだけれどアミューズメントパークにしては緊迫した空気がリアルで怖じ気づいてしまう。防犯対策ならば、今時はボタン一つで警備会社と連絡がとれる時代なのに。やはり、ここは何かが変だ。

「……ふふ。そうなの」

「それは、それは」

 物陰に隠れる私の前を笑いながら横切る女の人の姿に、ついに目眩を起こしそうになった。