「この呪いは、どんな意味があるんですか?」

「それは……」

 枝からほどくと1400年前の日々を思い出しながら彼の左手の小指に優しく結ぶ。
 __約束の赤い紐。
 しかし、その光景を不思議そうに眺めている姿に若干呆れる。あなたが教えてくれたのに。そう思って。

「約束です」

「約束?」

「 また、逢えるようにって」

 1400年前から色褪せることなく未来へと戻ってきた赤い紐は、私の想いのように今日も鮮やかな色をしている。

「……あれ?」

 呆けていたと思ったら突然彼の瞳から雫が零れ落ちる。不思議そうに涙を拭うのは彼であって彼ではない。だけどやっぱり漆黒の瞳は1400年前と変わらない。