「はい。子供も元気ですよ」

「そうか。結婚式以来だからな、岸辺にもたまには顔を出すように言っといてくれ」

「伝えておきます」

 岸辺とは、麻美のこと。
 麻美は私と同じく地元の大学を卒業した後、その時の同級生と結婚をした。
 今では二児の母として家事と育児に追われている。

「坂口も、そろそろじゃないのか?」

「私は、まだいいです」

「いいとは、なんだ」

「待ち人来ず。なもので」

「好きな男はできたってところか?」

 ズカズカと踏み込んでくる浜田に満面の笑みを浮かべる。

「永遠の想い人です」

「……お前は、たまによくわからないことを言うな」と、苦笑すると浜田は階段を降りていった。