まさか歴史の教師としてこの母校に戻ってくるなんて想像もしていなかった。
 最初は皆がどうなったのか知るのが怖くて目を背けていたし、どうしても過去の出来事と割り切ることもできなかった。今だって、どこかで笑っていそうな気がする。だけど伝えることで守っていきたいと思ったから、この道を選んだ。知らなければ伝えることもできない。だから頑張って勉強した。すごく辛い道でもあったけれど、この仕事は私の誇りだ。

「そういえば、岸辺は元気なのか?」

 ひとしきり感動を味わった浜田が思い出したかのように尋ねる。