確かに、私もあんな経験をするまでは同じように思っていた。

「確かに歴史書には、起こった戦や改革や小難しいことしか書いてないからね。だからつまらないし、どこか自分達とは異質の人達と感じてしまうのもしょうがないと思う」

 私もそうだった。1400年前なんて遠すぎて興味もなかった。関係ないって思っていた。

「だけどね? 歴史書には書かれていないけれど、過去の人も私達と同じように生きていた。海を見てはしゃいだり、温泉に入って感動したり、友達と他愛のない会話をしたり、一緒に遊んだり、恋をしたり別れたり。そうやって生きていたと思ったら、少しは身近に感じない?」

 石田君は、んーと唸りながら考えていたけれど暫くすると「少し」と頷く。
 こうやって少しでいい。ほんの少しでいい。過去の人達も同じ人間だと理解してもらえれば。