「……先生」

 小さな声で私を呼ぶのは一番前に座る女子生徒。垂れ目で、おっとりとしたその姿は誰かを連想させる。

「はい、倉石さん」

「……あの。どうして、塩谷さんと新田部さんは殺されて守さんと境部さんは助かったんですか?」

「倉石さんは、どうしてだと思う?」

「え? ……えっと」

 彼女はとてもシャイ。 口をパクパクさせているところを見ると、その答えはもう見えているようだ。いや、もしかしたらその魂が覚えているのかもしれない。

「言わなくてもいいよ」

 私はそっと、手に持っていたチョークを置く。