「あ」
後ろにいる麻美が突然声を上げる。
「有馬皇子の歌。もう一首あった」
「え?」
託されたのは間違いなく二首だったけれど……。
「来て来て」と、麻美に即されて着いていくと目の前に大きな歌碑が現れた。
「正確には有馬皇子に関する歌だけど」
皇子の死を偲んで詠まれたと伝わる作者不明の歌。浜田がそう言っていた記憶がある。だけど。まさか……。
戸惑いながらも見覚えのある文字に泣いてしまわないように私は少し濁った空を見上げた。
「……藤白の御坂を越ゆと白妙の我が衣手は濡れにけるかも……」
「凄い。いつの間に覚えたの?」と、驚く麻美に向かって微笑む。
「……この歌だけは覚えてる」
そして、これからも永遠に忘れはしない。
後ろにいる麻美が突然声を上げる。
「有馬皇子の歌。もう一首あった」
「え?」
託されたのは間違いなく二首だったけれど……。
「来て来て」と、麻美に即されて着いていくと目の前に大きな歌碑が現れた。
「正確には有馬皇子に関する歌だけど」
皇子の死を偲んで詠まれたと伝わる作者不明の歌。浜田がそう言っていた記憶がある。だけど。まさか……。
戸惑いながらも見覚えのある文字に泣いてしまわないように私は少し濁った空を見上げた。
「……藤白の御坂を越ゆと白妙の我が衣手は濡れにけるかも……」
「凄い。いつの間に覚えたの?」と、驚く麻美に向かって微笑む。
「……この歌だけは覚えてる」
そして、これからも永遠に忘れはしない。