「仏様? 道祖神じゃなくて?」

「ドウソシン?」と、今度は私達が首を傾ける。

「今でいう交通安全の神様だよ。一首目の松枝を結ぶのって、無事に帰ってこられますようにっていうお呪いでしょ?」

「うん」

「だから二首目の椎の葉に盛られたご飯も、無事に帰れますようにって道祖神に捧げた供物なんじゃないかって言われもしてるよ? 家にいたら器に盛る神様への供物だけど、旅の途中だから椎の葉に盛るしかないみたいに」

 心が震えた。諸説あるのは色々な人が皇子の歌に触れ、皇子の気持ちを理解しようとしてくれている証拠だから。

「でも、優花ちゃんはどうして仏様だと思ったの?」

「皇子は自分が殺されてしまうことをわかっていたと思うから。だから椎の葉に盛られた一口のご飯を見て、これから死に行く自分への供物だと思ったんじゃないかなって」

「それは新しい見方だね」

 本当の意味は、もうわからないけど。私はそう感じる。