「……もしかして、ここが藤白神社?」

 正確には、これから藤白神社が建つ場所。
 だから風は、ここから動かなかったのかもしれない。核心が持てず「未来に戻るの?」と、祠に問いかけるけれど答えは返ってこない。しかし開かれた扉に手を入れると何故か人肌のような優しい温かさに鳥肌が立つ。直感した。
 __ここだ!
 そう感じた私は皇子と自分の歌。そして筆をもう一度抱きしめる。
 __大好き。また未来で会おう。
 名残惜しいけれど、そっと木の箱の中に入れると扉をゆっくりと閉めた。

 __お願い!私達の想いを守って!

 そう願った瞬間、大きな風が私の身体を包み込み意識が遠退いていく。そして遠くからは誰かがこの名前を呼ぶ声が聞こえた。