目の前にある茅葺屋根の扉が開いていた。
 さっき閉めたはずなのに風のせいだろうか。両開きの扉から中を覗き込もうとした瞬間、あることに気づく。
 屋根のある木箱は中に何も奉られてはいないけれど祠のように見える。

 __有馬皇子。
 __祠。

 バラバラのピースがカチリと嵌まる。
 まさかと思い辺りを見渡してみても、鳥居や社殿らしき建物は見当たらない。だけどこの地形には見覚えがあった。