理解していながらも私は皇子との約束を守ることを選んだ。何も考えないように、ただただ走っていた。だけどもう限界だ。
 何処までいっても果てしなく続く森に終わりはない。この心の悲しみのように果てはない。
 私は泣きじゃくりながら懐の中にある、皇子の歌を抱き締める。約束を守りたいのに、神社やお寺なんて見当たらない。
 __どうすればいい?どこに託せばいい?
 答えてくれる人は、もうどこにもいない。

「……っ皇子」

 ねえ、教えてよ。

「有馬皇子っ」

 あなたが私をこの世界へと導いたんじゃないの?ならば帰る道を教えてよっ!