足に小さな衝撃が走るのと同時に私の動きは止まった。まだ少し回る視界には、どこまでも続く木々が見える。
  __戻りたい。
 未来ではなくて皆がいたあの時間に。皇子が隣にいたあの瞬間に。

「っ……うっ……」

 私が望むのは未来じゃない。皇子がいる世界なのに。もう、戻れない。もう二度と。

「うわぁぁぁぁぁ!」

 塞き止めていた気持ちが溢れ出していく。
 落ち葉を両手で叩いても喚き散らしても、何をしてももう戻れない。もう、会えない。
 さっきまで感じていた熱はもうどこにもない。もうこの時代にいたって会えはしない。