益々、彼の謎は深まるばかり。
 __ナカノオオエノミコ。
 ふと、先程聞いた単語を思い出す。会話の流れからしたら恐らく人の名前なのだろうけれど、私の頭の中ではカタカナに変換されてしまうから困る。

「日の傾きを見ると、今は(さる)の刻だ」

「は?」

 今度は日の傾きで時間を計ったようだ。もう溜め息しか出ない。
 人の趣味をとやかく言いたくはないが時計という便利な物がありながら、水や日の傾きで時間を測って何が楽しいのだろう。敢えて不便を好むなんて私には到底理解ができない。

「……申刻って一体何時よ」

 小さく呟きながら橙色をしている空を見上げる。アバウトに夕方だということだけは私にもわかる。 だけど正確な時刻まではわからない。
 げんなりしながら彼の顔を眺める。そこで、最初に気づいた疑問に戻る。
 __そういえば、不思議な格好をしているけれどコスプレ?真っ白な服というより着物?