__飛鳥時代。
 __藤白坂。
 __皇子の歌。

 私はあの日、藤白神社の皇子の祭られている祠の前でタイムスリップをした。

「形は違へど、未来でまた優花殿に逢えることが嬉しくてたまらぬ」と、本当に嬉しそうに笑う顔はどこまでも真っ直ぐで苦しくなる。

 __逢いたい。

 その想いが1400年後のあの姿なのだろうか。あの細長い墓碑を思い出し切なくなる。
 未来の私は知るはずもなく関係ないと思っていた。その生き方を想いを知ろうとしなかった。まさかこんな想いが隠されていたなんて、知るはずもなかった。