「私は死のうとしていた」

 その言葉にハッと息を止める。
 あの時に感じた違和感はやはり間違いではなかった。

「こうなることは、わかっていた故。ならば己でと考えておった」

 __いつか殺されるから。だから自分で死のうとした。
 細長い人差し指が私の目尻に触れる。その上に乗った雫に自分が泣いていることに気づく。 「なれど、思いもよらぬものが空から落ちて来てな」と、皇子が微笑む。それって、まさか……。