「私には、優花殿が輝いて見える」

「私が?」

「その瞳も、その心も。私は優花殿のことがス」

「ス?」

 一瞬固まった皇子は、そのまま私に背を向ける。

「え、スって何?」

「気にするでない」

「ケチ」

 外を眺めるその背中をバシッと叩く。だけど皇子は振り返ることなく私の手をそっと握った。そしてそのまま押し黙る。
 私は呆れながら桃色の飴を頬張る。
 この想いは、夢でも幻でもない。どんなことがあろうと覚めることなんてないんだ。