「そろそろ参るぞ」

 だけど物部さんの声にいとも簡単に解けてしまう視線に、私達の運命を重ねてはどうしようもなく切なくなる。
 絡まったと思ったら簡単に解けてしまう。自分の意志とは関係なしに。そして解けてしまったら、もう二度とは戻らない。もう二度と会えなくなることもある。

「塩谷さん。舎人さん」

 気づくと呼び止めていた。
 二人の顔を焼き付けておきたかった。