私は皇子の肩にもたれかかる。だけど歌に集中しているのか黙ったまま。だけど静かに受け止めてくれるところが好き。

「皇子は歌を詠むのが好きなんだね」

 この海は1400年後の未来にも存在するのだろうか。変わらないで欲しい。と、願う。
 この色も。この形も。変わらずに存在していて欲しい。

「想いがあるのだ」

 皇子は口元だけで微笑みながら言葉を落とす。

「想い?」

「そうだ。その瞬間に残したい想いがある。だから私は、こうして歌を詠む」

 絡まった視線が解けない。解きたくないと思う。