「これは何の葉っぱなの?」

「椎だ」と、隣にいる皇子が応える。

「ケ。のかわりだからだな」

「ケ?」

 ハテナマークを浮かべると皇子はキョトンとした顔をする。

「いつも飯が盛られてあるであろう? あれが()だ」

「あぁ」

 どうやら食器のことを言っているようだ。
 難波宮にいるときはいつも器に盛られていたけれど、旅の途中に器はないから葉っぱを敷いているのだろう。

「量が少ないね」と、素直な感想を述べると隣りにいる塩谷さんと舎人さんが笑う。

「旅先ですからね。食料は限られております故」

 それはわかるけれど、さすがに少ない。本当に一口。