「私達、これからどこに行くの?」

「戻るのだ」と、微笑みながら答える皇子に緊張の糸が切れた私はもたれかかる。

「……怖かった」

「誠か? 恐いものなしではないか」

 クスクスと笑う度に、その振動が頬に伝わる。
 皇子は私の腰に腕を回しこの頭に顎を乗せて抱き寄せると「温かいな」と、幸せそうな顔で呟く。
 __戻れる。
 思わず涙が出そうになった。こうしてまた、皇子の熱を感じることのできる喜びが身体全身に広がる。こんな想い未来の私は知らなかった。