もしも、皇子が邪魔ならば赤兄さんや物部さんに頼んで殺す方が速い。だけどこの人は、それをしなかった。全て知らないふりをして、こうしてわざわざ白浜まで呼び出して尋問をして。その理由は……。
「私達を利用したの?」
中大兄皇子はこの場所で私達を殺すつもりなんてない。
__ただ、尋問したという事実が欲しかった。 あくまでも赤兄さんが皇子と謀反を企てて途中で皇子を裏切り自分に密告したことにするため。 自分は関係ないのだと、そのことを周りに示すため。裏にいる自分の存在を隠すために、私達は利用された。
だけど、このことを大王は知っているのだろうか。それは、私にはわからないけどただ悔しい。
「……なんて人なの」
中大兄皇子は憎たらしい顔でふっと笑う。
「何とでも言うがよい」
そして、ニヤリと笑うと隣にいる皇子を見据える。
「私達を利用したの?」
中大兄皇子はこの場所で私達を殺すつもりなんてない。
__ただ、尋問したという事実が欲しかった。 あくまでも赤兄さんが皇子と謀反を企てて途中で皇子を裏切り自分に密告したことにするため。 自分は関係ないのだと、そのことを周りに示すため。裏にいる自分の存在を隠すために、私達は利用された。
だけど、このことを大王は知っているのだろうか。それは、私にはわからないけどただ悔しい。
「……なんて人なの」
中大兄皇子は憎たらしい顔でふっと笑う。
「何とでも言うがよい」
そして、ニヤリと笑うと隣にいる皇子を見据える。